日放労とは

私たちは、NHKの職員でつくる労働組合・日本放送労働組合(日放労)です。全国に53ある放送局だけでなく、報道室や営業センターなど、さまざまな現場で働く職員による労働組合で、管理職を除く職員7,300人で構成されています。
日放労は、かつては、政治と強く関わり、そこから社会変革運動をめざした時期もありました。そのイメージで語られることが現在でも少なくありませんが、そうした路線からは三十年も前に距離をとり、常にニュース・番組を出し続ける放送局ゆえの労働環境の改善と、公共放送としての自主自立を守るため現場から声をあげることを続けてきました。
現在では、労働環境の改善もさることながら、公共放送のあり方を現場の視点から考えるような活動をおこなっています。
公共放送・NHKは放送法でその存在が規定されていますが、他の国の公共放送と比べても、そんなにきっちりとあり方が決められているわけではありません。その分、NHKと視聴者との関係のなかで、そのときどきのあり方を模索していく、という面があります。
インターネットが隅々まで普及し、経済状況も高度成長の昔とは異なる時代です。社会のなかでも、あるテーマについて大きく意見が割れることが多くなり、国際情勢も以前に比べて不安定な要素が増えてきました。NHKも、番組の作り方や受信料のあり方などが変わってきました。こうした時代に放送局としてどういう仕事をしていけばいいのか。職員個々はもちろん、いろいろな価値観を持っていますが、事実を見つけ出し、掘り下げ、多様なコンテクストからものごとを描き出すにはどうすればいいのかを、現場で議論しながら仕事をする、そうした議論の場所のひとつとして組合も活動しています。
「放送」だけでなく、「ジャーナリズム」、「労働組合」などなどが、時代状況に合わせて新たな変革を求められています。この日本社会にふさわしい放送局のあり方を考え、そのための労働組合となるべく、日々活動しています。その一部を、このサイトでお伝えしていきたいと思います。

2013年12月 中央執行委員長 中村正敏

日放労とはNHK職員の労働組合、日本放送労働組合です。
2022年8月時点で、日放労の組合員数はおよそ7000人です。
日放労は労働組合として、雇用の確保はもちろんのこと、労働条件や経済的地位の維持・改善、向上を求めていくのは当然のことですが、一方で、公共放送で働く者としての公共放送事業に対する考えや、その立場から経営に対するチェック機能を果たすことも視聴者や社会から求められ、そのあり方についても問われる時代になっています。

私たちは「放送サービスのあり方」「視聴者と向き合うこと」「受信料制度のあり方」など、「公共放送」について職場やさまざまな場で議論を深め、提言にもつなげる取り組みを続けています。

●分会
各部や放送局を単位に、それぞれの職場の問題を、分会執行委員長を中心に労使議論を通じて解決を目指します。

●系列・支部
分会の意向を取りまとめたり、大きな課題のために分会では解決できないような問題を議論する場です。「系列」は本部の職種ごとに大きくまとめられたもので、「支部」は各管中(拠点局)単位で分会と共に問題の解決に当たります。全国には10の系列・支部があります。
各系列・支部には組合専従者を含む執行部(委員長、副委員長、書記長、執行委員)があり、日々の組合業務や交渉にたずさわっています。

●中央
職員制度や賃金、全国的な経営課題などについて経営と議論します。書記局は東京の放送センター内にあります。中央執行委員を中心に、分会や系列・支部で解消できなかった課題の解決など、日々の業務にあたっています。

  • 1946年(昭和21)
    「日本新聞通信労働組合放送支部」結成
  • 1948年(昭和23)
    「日本放送労働組合」結成
  • 1949年(昭和24)
    機関紙(当時は冊子でなく新聞でした) 「日放労」第1号発行
  • 1976年(昭和51)
    NHK会長の天下りに反対し、全国で3日間で100万人の市民の署名を集める活動を展開。結果的に137万人あまりの署名を集め、経営に訴える。
  • 1978年(昭和53)
    経営幹部の視聴率重視発言に抗議、会長が放送に関して組合の意見を聞く場として「放送労使会議」を設置(現在も継続)
  • 1980年(昭和55)
    受信料値上げと義務化の問題をめぐり、自民党から日放労批判。当時の中央委員長が国会に参考人として喚問され、意見陳述。
  • 1981年(昭和56)
    ロッキード事件のレポートが報道局長命令でカットされた事件で、これを批判した組合員が現場をはずされる。中央委員長と中央書記長が会長室前でハンストを行うも、撤回をかちとれず。
  • 1982年(昭和57)
    同業他社に比べて低い処遇の改善を申し入れ、その後数年をかけて改善。
  • 1985年(昭和60)
    国会でNHK特集「核戦争後の地球」が偏向番組だと指摘され、番組資料の提供を求められる。4時間のストライキ。資料の提供はなし
  • 1988年(昭和63)
    NHK関連労働組合連合会(NHK労連)結成
    現場の制作・編集に関わる問題が起きたときに労使が話し合う内部組織として「放送活性化会議」を設置(現在も継続)。
  • 1989年(平成元)
    72時間ストライキ。当時の会長が「不偏不党は現実的ではないといわれ、私も不偏不党という考えを取り消した」と発言したことに抗議。1県に複数の局がある場合、それを整理したいという協会の意向に反対、撤回させることに成功。
  • 1990年(平成2年)
    処遇改善、週休2日、クリエィティブ休暇、フランチャイズなどを求めて交渉。数年をかけて実現。北海道7局のうち3局の制作機能を廃止するという提案に反対、市民との協力もあって撤回させることに成功した。
  • 1993年(平成5年)
    前年放送のNHKスペシャル「禁断の王国・ムスタン」にやらせがあったとの批判。全職場で総討議を行い、145のリポートが集まった。協会は冊子を現場へ配布。
  • 1995年(平成7年)
    「阪神・淡路大震災」などの報道のあり方について総討議を実施
  • 2004年(平成16年)
    不祥事発覚、大規模な不払いに直面。職場での総討議、視聴者とのハガキ活動などを重ね、中央委員会で会長の経営責任を問う要求を決定。
  • 2017年(平成29年)
    メディア・広告・映画演劇労働組合連合会(メディア労連)にN労連として結成。

このコーナーでは、質問形式で日放労の考えや仕組みなどをお伝えします。皆さんからいただいたご質問にも お答えできるものについて載せていきます。

Q1. NHK職員は全員が組合員なのですか?

NHKでは、協会と組合の取り決めで、職員は誰もが日放労に加入することになっています。
労働組合法では、採用後は一定の期間内に労働組合に加入しなければならないという「ユニオンショップ」が認められており、NHKでもこのユニオンショップが「労働協約」のなかで確認されています。そのためNHKでは100%組合員になります。

ただし、管理職と、経営情報を扱うごく一部の職員は除くことになっています。
現在の組合員数は、およそ7,600人で、これはNHK全職員のおよそ71%になります。

<参考>「労働協約」 賃金と労働時間などの労働条件、人事や福利厚生、安全衛生など、組合員の待遇に関することを協会ととりきめています。いわば、団体交渉の成果が労働協約です。労働組合とその組合員、経営者はお互いに誠意をもってこれを守らなければなりません。現在の労働協約は1948年に締結されたものが基本になっています。

Q2. NHK職員は受信料を払っているのですか?

NHKの受信料は職員であるからといって免除されるようなものではありません。
視聴者のみなさまと同じように受信料を払っています。

Q3. 日放労はNHK経営とどんな議論をしているのですか?

日放労では中央部や系列・支部だけでなく、全国の分会単位でも団体交渉をおこなっています。
通常は、大きく分類して「春」には新年度の事業計画に基づく組織や要員、賃金改善などの議論を、「秋」に公共放送や職場のあるべき姿についてや、育児や介護などの権利や制度について交渉をしています。
労働条件に関することだけでなく、有事法制、アカウンタビリティーシステム、パブリックアクセス、公共放送の新サービスについてなど、放送に関わる幅広いテーマについて時期にとらわれず議論をしています。

Q4. 会長も組合との交渉の場に出るのですか?

通常の日放労の中央交渉には、会長は出席しません。
中央書記長を交渉責任者とする交渉団と、労務担当理事を筆頭とする労務担当との間でおこないます。
ただし、中央経営協議会が開催された場合、経営からは会長、日放労からは委員長が出席をして、直接協議をすることになります。

<参考>「中央経営協議会」

協会と日放労は、事業の円滑な運営をはかるために、経営と日放労を代表する委員からなる経営協議会を設けています。
これは「労働協約」に明記されています。
大きな特徴は、経営協議会の議題が労働条件に関しての協議事項だけでなく、協会が組合に、予算と事業計画、組織改正についてなど諮問をするということになっていることです。
諮問事項に関しては、労使合意が成立しないこともあります。